首を叩く。声をかける。どちらも「褒める」だけど、馬ってどうされたら「褒められてる」と判断してるんだろう?
そんな疑問にお答えします!
今回は、「褒める」という行為について、個人的に考えてる事をお話ししますね!
馬を褒めるの真意
結論、馬を褒めるって、明確なアクションは必要ないんです。
首を叩いて褒めてあげましょうね。と教わった方にとっては意外だと思います。ですが、事実です。
というのも、野生の馬同士のコミュニケーションを考えてみましょう。
褒める時、食べ物って与えますか?褒める時、鼻先でタッチなど、何かしらのアクションをするでしょうか?…しませんよね。
そうなんです。馬って、何かをされた=褒められたではないんですよ。
確かに、コミュニケーションをとる上で、「それが正解だよ」とは伝えないといけません。ですが、僕たちはとるべき行動は、「ご褒美」ではないんですね。
では、どういった行動が適切なのでしょうか?
それは、それで良いんだよと「認めてあげる事」です。
あなたがやってる事は、やってて良いものですと「認める」のが、馬の世界のルールでは「褒める」になるんですね。
野生の群れからみる馬の教育方針
これを理解するために、モンティ・ロバーツ氏という、有名な調教師の方が見た、野生の馬の群れでの出来事を例えに出してみましょう。
野生のオスの馬は、年頃になると、自分の力を試したくなります。
その気持ちが我慢できないと、群れの他の馬にちょっかいを出して、自分の強さをアピールするようになるんです。
他の馬からすると、迷惑な行為です。ぶつかり合いの加減も知らない、成長期のオス馬が、自分が悪い事をしたわけでもないのに飛びついてくるわけですからね。
そんな時、群れのリーダーとなる馬は、子供だろうが全力で叱ります。歯を立て、お尻を向け、とうとう子供を群れの外から追い出すんです。
一面の草原で、1頭だけ孤独でいるのは、肉食動物に「狙ってください」と言ってるようなものです。調子に乗っていたオス馬も怖がり、群れに戻ろうとします。
ですが、リーダーの馬は、オス馬をにらみつけ、これを許しません。二度とそんな事をしないと反省するまで、群れの中には戻そうとしないのです。
これは、人間でいう、「悪い子は家に入れません」です。馬なりの教育なんですね。
やがて、威張っていた馬も、すっかり元気が無くなります。
そこまで反省して初めて、リーダー馬は、違う方向を向き、にらみつけるのを止めるんです。これが、許してあげたというサインです。
そうして、オス馬はトボトボと、群れの中に戻っていきました。
以上、モンティ・ロバーツ氏の著書、「馬と話す男」からの引用でした。とても良い本なので、興味がある方は、調べてみて下さい。
このお話を聞くと、馬の教育方針は、「良い事をしたら褒める」ではない事が分かります。
もちろん、褒めるのは良い事ですが、ベースとなっているのは、「悪い事をした時だけ駄目と言う」なんです。
良い事をしている時は、それを認め、のびのびとやらせてあげる。
褒めるという「アクション」を必ずしなければいけないわけではないんです。
これを間違い、「良い事をしたらご褒美をあげる」が当たり前になってしまうと、「ご褒美をくれないから言う事を聞かない」になってしまいます。
人間も馬も、教育って難しいです。
人間からの「認める」
では、馬同士ではなく、人間の世界に話を戻しましょう。
認めれば良いのは分かりましたが、何を持って、「私は認めています」と馬に伝えればよいのでしょうか?
答えは、楽にしてあげる事です。
進んだから、脚合図を止める。首を起こしたから、引っ張るのを止める。実は、これだけなんです。
以前、僕は「コンタクト」と「譲り」という記事を投稿しました。
馬との意思疎通、「コンタクト」と「譲り」の考え方あれは、まさにこの考え方の応用になります。
私はこれをしてほしいんだけど?という「コンタクト」を行い、やってくれたらそれで良いんだよと「譲る」。
これはそのまま、馬を認める行為にも繋がります。だから、記事内で、「馬術の入口になる技術です」と言ってるんですね。
手綱を放せないのなら、無理に放す必要はありません。
ただ、馬が求めた状態になったら、引っ張らないようにはしてください。そうすると、「ああ、これが正解なのね」と理解してくれます。
つまり、何も問題行動をしてなければ、馬はフリーになってるのが、本来の理想なんですね。
初心者の方には、これだけでも難しいものです。バランスを整えるため。走られないように。体は固まり、手綱は握ってしまいますからね。
それは仕方ありません。誰もが通る道です。
まずは出来る範囲から、「馬に楽をさせる」に取り組んでみましょう。
もちろん、プラスアルファで褒めてあげるのは、とても良い事です。首を叩いてあげたり、声で褒めてあげたりもしてあげてくださいね。
まとめ!
今回は、馬を褒めるという行為について、個人的に思っている事をお話ししました!
馬は、褒められたからといって、表情や振る舞いに変化はありません。そのため、なかなか通じているかが分かりませんよね。
ですが、良い悪いを明確に示してくれるのは、乗り手への頼りがいにも繋がります。
言葉が話せないからと思わず、スキンシップを試してあげて下さいね。
ご覧いただき、ありがとうございました!
こちらの記事も、参考になると思います!ぜひご覧下さい!
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