拍車を付けるように言われたよ!でも、拍車ってどうやって使うの?こんなのを付けて蹴っ飛ばしたら、馬も痛くない?
そんな疑問にお答えします!
確かに拍車は、シンプルな割には効果が強く、オススメの道具ではあります。
ですが、使い方を誤ると、ちょっと怖い目にもあってしまう道具でもあります。
今回は、拍車の効果や使い方、その必要性について、解説をしますね!
拍車の効果と使い方
拍車とは、かかとの部分につけた出っ張りで、馬のお腹を刺激するための道具です。
お腹への刺激を、かかとという「面」ではなく、出っ張りという「点」にする事で、刺激を鋭くする事が出来ます。足つぼマッサージなどが、親指だけでグリッと押した方が痛いのと、やってる事は同じです。
使い方は、普段よりかかとを内側に入れて圧迫合図をするだけです。
どれくらいかかとをひねるかによって、当てる加減を変える事が出来るのも、拍車の特徴です。馬の感度によって、どれくらい出っ張りを入れ込むかを変えましょう。最初から敏感だと分かっているなら、付けないのも有りです。
この時、圧迫合図ではなく、思い切り蹴りこむ合図をするのは厳禁です。いくら針レベルで尖ってないとはいえ、鋭い部分で馬のお腹を蹴りこんだら、馬のお腹には穴が開きます。
もし、圧迫だけじゃ反応しないのなら、蹴りこむのではなく、馬自体の感度を上げる事が優先です。詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
どうして動かない?重い馬の動かし方は?原因と対処の方法拍車のメリット
拍車を使うメリットは、以下の3つになります。
- ショックを与えず、馬への刺激を強く出来る
- 下からの圧力を加える事が出来る
- 脚扶助の増幅が出来る
鞭みたいに、叩く道具ではないので、蹴る脚合図で使わない限りは、「叩かれた!」というショックを、馬に与えずに済みます。
また、短鞭、長鞭は共に横からの刺激でしたが、脚を下から使う事で、下から馬の体を持ち上げさせる、という指示をする事が可能です。
合わせて、脚合図自体の刺激を強くする事で、内方脚、外方脚の効果を高める事が出来ます。内方姿勢や、横運動、駈歩発進などに、非常に役に立ちます。
これらのメリットがあるから、繊細な指示をしたい時に、拍車は効果を発揮します。
拍車を使うデメリット
ただ、メリットがあれば、もちろんデメリットも存在します。
- 合図への遠慮が生まれる
- 馬を蹴る脚合図が出来なくなる
- 誤作動がある
- 脚の使い方が覚えられない
1つずつ、解説していきましょう。
ただでさえ、馬に鞭を入れたり、蹴ったりする事に抵抗がある人は多いです。そこまでするなら走ってもらいたくないだったり、痛かったらいやだなだったり、理由は様々です。
そこに、拍車という、威力アップの道具が付いたら、余計に合図を遠慮してしまうでしょう。
また、拍車をつけた事で、「馬を蹴る」という合図が使えなくなります。
理由は先程も言った通り、鋭い出っ張りが、馬のお腹を痛めるからです。
詳しくはこの記事で解説してますが、圧迫合図とキック合図は、同じ脚扶助でも効果が違うんですね。
乗馬での脚の使い方!扶助の強さや、圧迫との使い分けを解説とはいっても、ノックは大丈夫ですよ。ただ、馬のわがまま以上に乗り手の意志を伝えたい時は、どうしても強いキックをする必要が出てきます。
片方が使えなくなるというのは大きな痛手だと僕個人は思ってしまいます。
鞭は、自分から使おうと振らなけらば、間違って使っちゃったという事は無いでしょう。
ですが、拍車については、脚合図をした段階で、当たってしまう可能性は否めません。
かかとを内側にひねったり、足を極端に後ろに曲げたりしなければ、敏感な所に当たらないし、そもそも拍車は機能しないものです。
それでも、必死で脚を使ってる時に、足の角度や当てる場所を明確に意識してというのは、初心者には至難の業です。
また、馬上での加速や、乗り手のバランスの崩れから、意識してないのに当たっちゃったというケースは、実際にレッスンをしていて、何度も目にしています。
拍車を使う、大きなデメリットの1つです。
拍車を使えば、弱い合図でも、馬は動いてくれます。
ですが、これはメリットのように思えて、デメリットにもなるんですね。というのは、的確な使い方を覚えなくても、馬が動いちゃうんですよ。
本来、脚を使っても馬が動かないから、僕たちは試行錯誤をするわけです。当てる場所だったり、足の巻き込み方を工夫するわけですよね。
でも、拍車の効果で動いちゃったら、そのような効果的な脚合図っていうのを覚えなくても良くなっちゃうんですよ。
結果として、難易度が高い馬に乗った時にやり方が違うと暴れられたり、拍車を付けないと馬を動かせない人になってしまいます。
拍車の必要性
ここまでの内容で感じた方もいるかもしれませんが、初心者が拍車を付けるのは、メリット以上にデメリットが多いです。
繊細に自分の体を扱えるようになった上で、扶助の効果を高めるために使うのが拍車であって、脚合図に自信がないから使うものではないんですね。
個人的に、拍車を付けるのは、「馬に筋肉を踏ん張ってもらう必要が出た時」だと思います。ゆっくりの駈歩、高い障害の飛越や、馬場馬術の高等技術は、馬力を引き出さないと出来ない為、筋肉の踏ん張りが必要です。
このように、通常の脚以上に、人間から送り込むエネルギーを強くしたい時に使うのが拍車です。
それより前で、馬の反応に困ったら、まずは、馬の感度を上げる練習をしましょう。馬に集中してもらえるようになって、自分の脚の位置を冷静に確認できるようになってから、拍車を付けるでも遅くないと思います。
反応がのんびりな馬に乗る上で、付ける事はありますし、それがいけない訳ではありません。ただ、拍車がないと馬が動いてくれないという事態にはならないようしていきましょうね。
まとめ!
今回は、拍車について全般的に解説をしました!
もくじなどをご覧いただければ分かると思いますが、脚合図に対して不安が無くなれば、拍車のデメリットは強いキックが出来ない事くらいなんです。その強いキックも、普通に馬に乗っている分には必要ない項目になります。
拍車自体は、とても効果がありますが、間違った指示の効果を強くしてしまっては、意味がありません。
まずは拍車が無くても的確な指示を出来るようになりましょうね。
ご覧いただき、ありがとうございました!