半減却ってどうやるの?ただブレーキをするだけじゃないんでしょ?加減もやり方も分からないや…。
そんな悩みにお答えします!
前回は、半減却をする意味と、使う場面について解説しました。
半減却を覚えよう!その1:半減却をする意味と、使う場面今回は、半減却の初歩になる、「前のめりにさせずに馬を動かす方法」について解説しますね!
半減却の段階
さて、半減却には、3つの段階があります。
- 前のめりにさせずに動かす
- 馬に踏ん張ってもらう
- 馬のアシストをする
今回お話しするのは1番目の、「前のめりにさせずに動かす」です。
前のめりのまま走ると、パワーが溜まらないという話は、前回させていただいたと思います。それを防ぐためですね。
具体的なやり方
前のめりにさせないだけなら、初心者の方でも出来る事です。
こちらの記事で話したような、首を下げる馬への対応と、ほとんど同じですからね。
馬が首を振る、下げる理由と、その対処法について解説!ただ、そこにプラスで、「馬を動かす」を加えると、微妙に注意する事が増えます。今回は4つですね。
- 脚を使って推進を作る
- 馬が止まり切らない程度に手綱を引く
- ペースが落ちる前に脚を使う
- 「上」を選択してもらう
解説していきましょう。
まずは脚から。ちょっとした事ですが、これはけっこう大事な事です。
というのも、もし馬のエネルギーが無かったとしたら、手綱を引いた途端に停止・後退をしてしまうからです。
逆に言えば、手綱を引いた瞬間に止まってしまう馬は、半減却以前に、エネルギーを出すところから始めないといけません。
バランスを起こすために、手綱を引いても大丈夫なよう準備をしておきましょう。
脚を使って馬の推進が生まれたら、手綱を引いて負担を作りましょう。
「手綱を引く」というよりは、「拳を控える」だったり、「馬の口に徐々に違和感を与える」の方が、言葉としては適切かもしれません。
「馬が止まり切らない程度」というのが、大事です。感覚としては、車のポンピングブレーキだったり、自転車のブレーキを想像すると分かりやすいかもしれません。
どちらも、急ブレーキをして一瞬で止めようとはしませんよね。ブレーキを数回に分けるか、弱いままかけ続けると思います。
「馬を止める」が目的ではありません。人間に意識が向けば、この段階では成功です。
20のパワーに対して、10ブレーキのようなイメージです。
ちなみに、この段階で首を起こしたまま動いてくれるようになれば、以降のプロセスを踏む事無く完成ですよ。
手綱を引かれたら、もちろん馬はブレーキと判断します。
ですが、僕たちが求めてるのは、「馬を止める」ではなく、「首を起こす」です。
そこで、馬のペースが落ちる前に、脚を使って、再度、馬に動いてもらいましょう。
「確かに手綱は曳いてるけど、この指示はブレーキじゃないんだよね」と、馬に教えてあげてください。
この時、手綱を引くのも、脚を使うのも、必ず丁寧に行って下さい。
馬としては、手綱を引かれたらブレーキをするのは正しいわけです。半減却の時に限り、そうじゃないと言ってるのは、人間の都合なんですね。
この作業を強引に行うと、「お前が訳わからない事を言ってんじゃないか」と馬は怒ります。
矛盾した事を言ってるのは人間側だという事を忘れないで下さい。
なお、ここで脚を使ってもペースが上がらなければ、口への負担が強すぎます。
逆に、馬のペースが落ちなければ、一度半減却の作業は止めて、純粋にブレーキをしましょう。
手綱を引かれたまま脚を使われた上で、それでも「ブレーキではないんだな」と馬が理解したとしましょう。
すると、「じゃあ何が正解なんだろう?」と、馬は行動を模索し始めます。
左右の手綱と脚がジッとしてるから、曲がれではない。止まろうとしたら蹴られたから、止まれでもない。でも、前でもないんでしょ?
そうなると、馬は「上」か「下」かの方向を選ぶんですね。
「下」を選んだ場合は、ハミにもたれかかるようになります。
将来的には、これも必要なんですが、今回求めているのは「上」です。
そのため、下に頭が下がったら、「そうじゃないよ」と、一瞬手綱を引いて、首を起こしてあげましょう。
そうして首が起きたら。あるいは最初から上を選択していたら、一度手綱を楽にします。「はい、それが正解でした」と馬に教えてあげましょう。
ただ、ダランと頭を下げていた馬が、1度に90度起きるわけではありません。
数回に分け、細かく姿勢を作っていって下さいね。
行う際の注意点
なお、今回のように、馬のパワーを溜める作業には、1つだけ注意点があります。
それは、馬がそれを拒否する場合があるという事です。
先程から言っている通り、半減却や収縮などの動作は、馬からしたら矛盾した指示になります。
また、そもそもパワーを溜めるという行為が、馬からしたら、楽にさせてもらえない行為なんです。
そのため、馬によっては、溜めようとした瞬間に、首や体をひねって反抗する場合があります。
このような場合は、無理に「溜める」のを続けるのはオススメしません。前に進め、減速、停止など、簡単な指示の範囲内で、騎乗を進めましょう。
なお、脚と拳、騎座の繊細な加減を覚え、デリケートなアプローチが出来るようになれば、このような馬でも溜める事は出来ます。
将来的にも出来ないというわけではないので、レベルを上げてチャレンジしてみてくださいね。
まとめ!
今回は、半減却を覚えようの第2弾として、前のめりにさせずに馬を動かす方法についてお話ししました!
収縮まではいきませんが、これも、半減却の1つです。苦しい体勢で、動き続けてもらうわけですからね。
ただ、今回の内容は、「半減却とは知らずに既にやっていた」という方も多いのではないかと思います。
それを、理屈立てて説明すると、これまでのような話になるんですね。
そう考えると、自分が無意識にやってる事を細分化するのが、どれだけ難しいかが分かります。
今回の内容も、「手綱を使って首を起こしたまま歩かせる」と言ってしまえば一言ですし、実際に動作としては0,5秒くらいですからね。
だからこそ、自分の騎乗や馬の状態に集中する時間が必要です。
1回1回の、馬に乗ってる時間を大事にしてくださいね。
また、頭で分からない部分があれば、いつでも教えて下さいね。
ご覧いただき、ありがとうございました!
その3はこちら!
半減却を覚えよう!その3:ハミと拳で推進を受け止める