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駈歩を覚えよう!その2:駈歩中の、馬の動きの理解

駈歩をしようと思うんだけど、随伴も脚も、馬に合わせるのが大事って聞いたよ!そもそも馬って、どんな動き方をしてるの?

そんな疑問にお答えします!

ただ脚を入れるだけでは、駈歩は出ません。馬の体の動かし方を理解し、そのサポートをする事で、スムーズな駈歩発進と随伴が可能になります。ぜひ覚えていきましょう。

今回は、駈歩中、馬がどのように体を使っているかを解説していきますね!

その1はこちら!

駈歩を覚えよう!その1:駈歩の習得の流れを知ろう
MEMO
記事の最後には、同じ内容を解説した動画もあります!今回は、映像の方が分かりやすいと思います。ぜひご覧ください!

駈歩の脚の運びと、進む方向

駈歩は、外側の後ろ脚が1、内側の後ろ脚と、外側の前脚が2、内側の前脚が3の、3拍子の走り方です。(解説動画00:33秒)

右手前駈歩。左後肢(1)→右後肢+左前肢(2)→右前肢(3)の順。

こうして見ると、向かいたい方向と逆の後ろ脚から、進行方向の前脚に、斜めに脚を運ぶ走り方となっています。

ここで分かる事は、以下の2つです。

  • 駈歩中、本来馬は、斜めに体重を移動している
  • 外側の後ろに溜めた力を、内側の前に出している

これは、馬というバネを、どう溜めて、どう開放すれば駈歩になるのかという点で、発進や継続にも応用できます。詳しくは、それぞれの回で解説していきます。

ちなみに、インストラクター時代、サークルでレッスンをしていた時に、これが原因で、駈歩が出せなくなっている方をよく見ました。

というのも、馬が内側のラチに近すぎて、このまま斜めに跳んだら、ラチを踏みつぶしてしまうという状態になっていたんですね。

馬は真っ直ぐ走ると思ってる方は、けっこう多いですし、馬も外より内側に寄っては来るんですが、あまりに内側の壁に過ぎても、駈歩は出ないんです。

馬が斜めに走っているという意識をするだけで、1つ課題が解決できますよ。

駈歩の、2つの時間

駈歩は、大きく分けて、2つの時間に分かれます。

  • 体を持ち上げ、前に進む時間
  • 着地し、次に繋げる時間

1つずつ解説していきましょう。

体を持ち上げ、前に進む時間

本来、駈歩は、速歩よりも速く走るため、一歩ごとの跳ぶ距離を広げる必要があります。

そこで馬は、速歩までのような脚の運びだけで走るのではなく、体を持ち上げ、体全体でジャンプする事で跳ぶ距離を稼ぐんですね。なので、駈歩には、馬が体を持ち上げる時間が存在します。

大事なのは、先程も解説した通り、外側の後ろから内側の前脚に向けて着地をしている事です。

この足の運び、パワーの流れは馬を伸ばす上で必要になってきます。改めて、覚えておいてくださいね。

着地し、次に繋げる時間

ジャンプしたという事は、もちろん着地します。

ただ、1回のジャンプで力を使い切ったら、次のジャンプは出来ません。体を沈め、再度、体を持ち上げるためのパワーを作る必要があります。

ここで重要なのが、内側の前脚です。映像を見ていただければ分かると思いますが、沈んだ体を、一番最後に持ち上げてるのは内側の前脚なんですね。

右前肢が、沈んだ頭と体重を持ち上げている

外側の後ろから流れてきたパワーと、自分の体重をしっかり受け止め、足をバネにして上方向に持って行く事で、次の一歩に繋げているんです。棒高跳びの棒のような役目をしているんです。

これまでの話だと、外側の後ろにパワーを溜めれば駈歩は続くように思えましたが、そうではないんですね。

最初の一歩こそ後ろ脚ですが、実はこの前脚のバネが、駈歩の継続においては一番重要になってきます。

地面に根っこが生えたように前脚が上がらなければ、体は持ち上がらず駈歩は出来ませんし、後ろ脚に体重が乗りっぱなしで前脚が空回りすると、地面を蹴り出せず前へ進めなくなります。

加減は必要ですが、後ろから前へ、体重を移すのが大事だと覚えておきましょう。

2つの時間から分かる、駈歩の特徴

以上、駈歩の2つの時間でした。

  • 体を持ち上げ、前に進む時間
  • 着地し、次に繋げる時間

ここで分かる事は、駈歩はピストン運動だという事です。

後ろ脚を踏ん張らせて、前脚を踏ん張らせてという前後の重心移動を、繰り返し行う運動なんですね。

後ろだけに起こし続ければ良いという考え方を持ってる人は多いですが、あくまで駈歩は、前に進むための走り方です。

詳しくは随伴の項目で解説しますが、馬に合わせられるようになりましょう。

2種類の駈歩

最後に、ちょっとした事ですが、2種類の駈歩というのを紹介します。

分け方は簡単です。首を下げて走る馬か、首を上げて走る馬かの違いです。

というのも、乗馬施設によって、どっちのタイプの馬が使われてて、どっちを基準に教えてるのかがバラバラなんですね。

それぞれ、解説していきましょう。

首を下げて走る馬

参考映像:前重心の駈歩

首を下げて走る馬は、頭の重さに身を任せ、坂道を転がり落ちるように前方に重心が移動します。

そうすると、少しの溜めでも、頭や、前にハミ出した体の重さに引きずられて、体が前に流れるんです。だから楽に前に進めるんですね。少しゼンマイを巻いたら、どこまででも走り続けるチョロQみたいなものです。

首を下げて走る馬の駈歩のメリットは、以下の通りです。「うちのクラブの馬は、駈歩がすぐ出るよ」というクラブでは、このような馬を駈歩の練習馬にしている事が多いです。

  • 揺れが小さい
  • 弱い脚でも、前という流れを作れる
  • 後ろに溜めるのも、わずかで良い

逆にデメリットとしては、このようなものがあります。馬の流れに巻き込まれず、制限速度だけは乗り手が作る必要があります。

  • 頭の重さで、勝手に速歩に落ちる馬もいる
  • スピードが速くなりがち

首を上げて走る馬

一方で、首を上げる馬は、重心こそ前には行きませんが、その分だけ前脚を軽く出来ます。なので、一度回転を作れれば、全ての脚でしっかり地面を踏み込む駈歩をします。

馬場馬術、障害馬術ともに、首をダランと下げたまま競技に出てる馬はいません。ゆっくりの駈歩、踏ん張った駈歩などのバリエーションがあるのも、首を上げた馬の駈歩の特徴です。

メリットとしては、以下のようなものがあります。

  • 手綱が引っ張られない
  • 4本脚全てで踏ん張れる

逆にデメリットは、ご覧の通りです。手綱を引くと、もともと後ろの重心が余計に後ろに下がり、止まってしまうなど、難易度としては、こちらの方が高いです。

  • 前にパワーを流しずらい
  • 溜めた結果、バランスが後ろになる

馬のタイプによって、今後の解説も加減が変わってきます。全ての馬で同じ発進方法、力加減ではなく、馬に合わせた扶助が出来るようになりましょう。

まとめ

今回は、駈歩中の、馬の動きについて解説をしました!

個人的に、これらの動きを理解した上で、それを促すように乗るのと、ただそう言われたからと乗るのでは、考え方が変わると思っています。

例えば、鐙を踏むタイミングを馬の着地に合わせたり、パワーを溜める方向を工夫したりは、馬の動きと、目指す形が分かるから出来るものです。

僕たちは、馬に動いてもらうわけです。馬に目を向け、馬が動きやすい状態を作ってあげましょう。

ご覧いただき、ありがとうございました!

その3はこちら!

駈歩を覚えよう!その3:求める馬の形と、駈歩発進の扶助

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