夏の乗馬って暑い…。馬は平気なの?熱中症とか無いの?
そんな疑問にお答えします!
馬業界にとっても、暑さ対策は大きな課題です。今回は、馬業界が行っている対策と、個人でも出来る事を解説しますね!
馬の熱中症について
結論、馬も人と同じように、熱中症になります。
日本で最も有名な馬産地が北海道である通り、馬は寒さには強い動物です。ですが、暑さには非常に弱いんですね。
馬は、もともとの平熱自体が、37度前後と、人間より高いです。
また、全身が筋肉のような動物なので、動くと、筋肉が生み出す熱の方が、汗で放出できる熱を上回ってしまうんです。結果、熱中症になってしまいます。
馬も熱中症になると、汗をかき、体が熱くなります。
他にも、鼻を大きく膨らませ、酸素を取り入れようと、呼吸が激しくなります。
また、基本的に熱中症の時は、判断能力が鈍ってうなだれるようになりますが、馬によっては、落ち着きが無くなる事もあります。
人間と違って、「これは熱中症だから、落ち着いて体を冷やさなきゃ」なんて、馬は分からないんですね。なので、「俺のからだ、どうなってるんだ!?」と、逆にパニックを起こすわけです。
馬も熱中症は、最悪、死に至る危険性があります。
馬業界が行う、熱中症対策
そんな熱中症を引き起こさない為に、馬業界も対策をしています。例えば以下の通りです。
- ミストシャワー
- 運動後に冷やす
- 涼しい場所での競馬、競技開催
- 夜間開催
解説していきますね。
2017年から、競馬場や、競走馬がいる厩舎で、運用が始まりました。近年は、乗馬の厩舎でも使用され始めています。
霧状のシャワーで、馬や空気を冷やす方法です。
通常のシャワーと違い、水の粒子が細かいため、空気と混ざりやすく、場所自体を冷やす効果があります。
合わせて、粒子が小さいので蒸発しやすく、気化熱で素早く涼しくする事が可能です。
とはいえ、熱くなったものを冷やすなら、直接、水や風で冷やした方が早いです。
そのため、乗馬、競馬を問わず、運動を終えた馬はすぐに冷やすのは、馬業界としてのルールになっています。
競馬には、JRA(日本中央競馬会)という、農林水産省を母体とした組織が運営している「中央競馬」と、市や都道府県が運営をしている「地方競馬」というものがあります。
そのうち中央競馬は、全国に10か所の競馬場があるものの、一か月に3つまでしかオープンしてないんですね。その3つの場所が、夏だと涼しい地域になります。
函館や札幌など、他の地域と比べると、比較的涼しい場所で開催する事で、ただ日を浴びてるだけで熱中症になる事を防いでいます。
また、乗馬の競技でも、夏の間は、北海道や、山梨県、長野県の避暑地などで行われる事が多いです。
2020年は延期になってしまいましたが、東京オリンピックの馬術競技は、夜間開催でした。
また、競馬にもナイター競馬があります。これも、暑さ対策の一つです。
個人で出来る熱中症対策
ここからは、個人で出来る、暑さ対策を紹介していきます。
- 水をかけて冷やす
- すぐに道具を外してあげる
- 水を飲ませる
解説していきますね。
まずはやっぱり、水をかけて冷やしてあげましょう。結局はこれが、一番の暑さ対策です。
ただ、表面だけ冷えても、体の内部に熱が残っていれば、馬は回復しません。出来るなら時間をかけて、しっかり冷やしてあげて下さい。
太い血管がある部分を冷やす事で、冷えた血液が全身を回り、熱を下げてくれます。首や前脚の付け根、股関節など、人間が体を冷やす時と同じ場所に水をかけてあげましょう。
なお、僕たちがプールに入る時と同じように、いきなり心臓付近に水をかけると、体がビックリしてしまいます。なので、最初は足の先から、かけてあげて下さい。
合わせて、馬を触っても大丈夫という方なら、水をかけると同時に、体の表面の水を水切りしてあげましょう。体温で温かくなった水が落ち、常に冷たい水をかける事が出来ますよ。
体に何も付けてない方が、風に当たる面積が増えて涼しくなります。ちょっとした事ですが、乗り終わったら、すぐに道具を外してあげて下さい。
暑さで、道具も暖まってます。そのままにしておくと、馬にカイロを貼ったような状態になります。手間ですが、これは、馬に乗る上でのルールだと思って下さい。
ただ、馬の数が少ない馬術部や、会員の人数が多い乗馬クラブでは、そのまま同じ馬に、別の方が乗るという場合もあります。
その場合は、腹帯だけでも緩めてあげましょう。お腹を膨らませやすくなりますし、圧迫されていた血管が広がれば、何もしないよりは馬も回復できます。
馬は、「大きく呼吸をする」と、「水を飲む」しか、自分で出来る暑さ対策はありません。
冷たすぎる水よりも、少しぬるいくらいの水の方が良いみたいです。冷たいからと飲まないのであれば、少々ぬるくても、しっかり量を飲ませてあげましょう。(動画では、なるべく冷たい方が良いと言ってますが、作った後に判明しています。ごめんなさい。)
ただ、馬の中には、どんなに熱くなっても、必要以上に水を飲まない子もいます。馬は1日平均で、20リットル以上の水を飲みますが、一気に飲む事は、あまりありません。
もし、飲んでほしい時に水を飲まなかったら、バケツの中に、草や人参、リンゴなどを入れておくと、それらを摂取しつつ、同時に口の中に入る水も飲むみたいです。試してみて下さい。
また、馬も暑い時は、塩分をとった方が、熱中症予防になります。
もし良い出来るようだったら、バケツ一杯に、一握り分くらいの塩を入れてあげると良いですよ。
まとめ!
今回は、馬の熱中症と、その対策について解説しました。
オリンピックですら夜間にやっている事を考えると、夏の日中の乗馬は、本気で暑さ対策をしないといけなくなってきてます。
もちろん人間も気を付けないといけませんが、馬の方にも、気を遣ってあげて下さい。
馬は、自分の好きなタイミングで水も飲めませんし、小屋に帰ってもクーラーもありません。
それでも逃げ出さず、暑い中、僕たちに付き合ってくれています。ぜひ、大事にしてあげて下さいね。
ご覧いただき、ありがとうございました!