完歩って言葉を聞いたけど、専門用語っぽくてよく分からない…。どういう意味なの?覚えると、何の意味があるの?
そんな疑問にお答えします!
今回は、完歩を理解する重要性について、解説しますね!
「完歩」に意識を向けられるようになると、馬への集中力が、一気に上がりますよ!
完歩とは?
完歩とは、馬の4本の脚が1回転するサイクルの事です。
常歩は4節、速歩は2節、駈歩は3節と言いますよね。あれの事です。
駈歩の脚音を表す音に、タカタン・タカタンというものがありますが、あれも、完歩を表しています。
1回のタカタンで、1回転ですね。ジャンプして、地面に着地しての1完歩を繰り返して、馬は走ってます。
完歩を理解するメリット
…で?って話ですよね。こんな事を覚えて、何になるんだと。
ところが、この完歩を理解する事は、馬に乗る上で、大きく役に立つんです。
完歩を理解するメリットは、以下の通りです。
- 1歩ごとの調整が可能になる
- 指示をするタイミングが分かる
- 馬の異常が分かる
解説していきましょう。
連続した障害の通過を例に出しましょう。
障害と障害の間が9mで、その間を3歩で走ってくださいと言われたら、1歩で3mの駈歩にすれば良いですよね。
ところが、馬は1歩で4mの駈歩をしていました。皆さんは、馬の歩幅を調整して、なんとか3歩で障害を通過しなきゃいけません。
この時、最初の2歩を4mで走らせ、最後の1歩を1mで走らせても、合計9mで、ちょうどになります。ですが、とてつもない急ブレーキを障害直前でかけられた馬は、間違いなく障害前で停止します。
このような時に、1完歩ごとのスピード調整が、役に立ちます。
1歩ごとに「3mだよ」と指示をする事が出来れば、急激かつ雑な指示をする事なく、馬に減速を求める事が出来ます。
このように、完歩を理解する事で、1サイクルごとの、馬の調整が可能になります。これが、完歩を理解する最大のメリットです。
この応用で、収縮や、歩度の増減も、より自然に行う事が出来ます。
いきなり減速する、いきなり収縮状態を求めるのではなく、一歩ごとに分ける事で、馬の負担を減らす事が出来ますよ。
駈歩の内方発進を例に出しましょう。
駈歩の内方発進は、馬の内側前脚を、内方脚を前にずらしてサポートする事で行う方法です。
となると、馬が内側前脚を踏ん張ろうとしたタイミングで、サポートした方が良いですよね。前脚が宙に浮いている時に、内方脚を使われても、踏み込む地面がありませんからね。
このように、1完歩を把握する事で、馬の姿勢と重心の移動をイメージする事が出来るようになります。
結果、踏ん張ってもらいたい時と、脱力してほしい時を区別できます。これは、高度な技術には、必要になる感覚です。
1完歩を理解するという事は、その馬の脚の運び方を理解するという事になります。
すると、完歩のリズムがズレていたり、特定の脚の着地の時だけ、バランスが崩れたりしている時に、素早く気づけるようになります。
なんとなく、馬が歩いてるなーと見るよりも、着地や回転に目が行きますからね。乗ってからではなく、乗る前に気づく事も出来るようになりますよ。
完歩のつかみ方
ただ、完歩については、こうすればすぐに分かるというものはありません。
ある程度、それぞれの歩様に対して余裕を持てるようになった状態で、足の運びに集中する必要があります。
軽速歩の手前合わせを覚える時に、手前の脚に集中する時と、同じ感覚です。自分の事が大丈夫になった後に、落ち着いて確認してください。
ちなみに僕は、競馬のレースや、youtubeに投稿されている騎乗映像を、スローモーションで見たりして覚えました。
ポイントは、「この時、自分の体がどう動く」までイメージする事です。ただ眺めてるだけにならないようにしましょうね。
まとめ!
今回は、馬の完歩について、解説していきました!
完歩は、騎乗中の、一番短い区切りになります。
例えば、馬場を一周するごとに、馬のペースをチェックするよりも、半周、あるいは蹄跡ごとにチェックをした方が、細かく馬のペースを意識出来ますよね。
そのチェックの間隔を、一番短くしたのが完歩なんです。
1完歩ごとに馬を理解するのは、常に馬の状態と、自分の状態に集中するという事になります。
それくらい、余裕を持てるようになるのは難しいですが、ぜひ、皆さんには、この状態を体験してほしいです。
一挙手一投足も見逃すなという言葉がありますが、その感覚ですね。
馬の感覚と、自分の感覚をリンクさせるという経験をすると、乗馬の世界が更に広がりますよ。
ご覧いただき、ありがとうございました!