馬に乗ってると、拳を縦にするよう言われる…。でも、ちょっとやりにくいんだよね。どうしてそうするの?
そんな疑問にお答えします!
僕も拳を立てるのが苦手でした。それどころか、つい最近まで間違っていると思ってました。
でも、拳を立てろと言われるのには、ちゃんと理由があるんですね。
今回は、拳を縦にする理由について、解説していきますね!
拳を縦にする理由
結論、拳を縦にする理由は、「その方が、胴体と連結しやすいから」です。
試しに皆さん、腕を前に出した後、脇を締めて拳を腰に引き付けてみて下さい。空手の押忍!みたいな動きですね。
どうでしょう?ほとんどの方が、手の平が上に向いた状態で、握りこぶしを引き付けてると思います。
これは、筋肉と骨の構造上、手の平を上にした方が、より楽に体を引き締められるからです。
これを、手の甲を上にしてみましょう。なんか、窮屈になりませんか?人によっては前傾していくと思います。
だから、拳を立てるよう言われるんですね。拳を寝かせると、姿勢が窮屈になり、体をまっすぐに出来なくなるんです。
ちなみに、この説明をすると、「だったらそのまま手の平を上にしておけば?」という疑問が出てくると思います。
これはこれで、馬術的には問題が出てくるんですね。馬に下方向に引っ張られた際に、握ってた指が開いちゃうんです。
これを直そうとすると、拳を上方向に巻き込まなきゃいけなくなり、結果的に拳が上がってしまいます。だから、拳は縦にしておくんです。
あとは見た目の問題です。僕はあまり気にしませんが、美しくない!と指導をする方がいるのも事実ですね。
拳を立てるメリット
拳を立てるメリットは1点です。
- 腕を胴体と連結出来る
解説していきますね。
脇を締め、肘を胴体に付け、拳を立てる!
レッスンでよく言われるこの言葉は、腕という木の枝を、胴体という木の幹にしっかり連結させ、外れないようにする方法です。
こうする事で、腹筋、背筋などの踏ん張りを、そのまま腕に伝える事ができます。その結果、腕だけで引っ張るより、しっかり馬を支える事が出来るんです。
なので、より強いブレーキをしたり、より馬にパワーを出してもらいたい時に、有効です。
拳を立てるデメリット
ただ、拳を立てる事には、デメリットも存在します。
そして僕は、メリットよりデメリットの方が、初心者にとっては大きいと思ってます。
なので、基本的に僕が初心者の方をレッスンする時は、余程しっかりとした姿勢を身に着けたいという方を除いて、拳を立てろとは言いません。
デメリットは、以下の2点です。
- 胴体が持って行かれやすくなる
- 腕が上がりやすくなる。
解説していきますね。
腕と胴体を連結させるという事は、腕が引っ張られれば、胴体も持って行かれるようになります。
また、先程お話ししたように、拳を立てるのは、胴体の筋肉の力を得る事で、自分の芯を安定させるためなんですね。
ですがそれって、胴体という木の幹が安定してるから出来る事です。
失礼を言うつもりではありませんが、馬の上でも崩れない芯を持つのは、初心者の方にとって、すごく難しいです。
胴体自体が安定してないのに、その胴体を頼りにしても意味がないんですよ。
結果、馬が首を下げて引っ張ってきた時に、体ごと持ってかれる方がいるんです。
こういう人については、拳を立てる練習をするより、まず体の芯をしっかり持つ練習をするべきです。
バランス感覚ってどう鍛える?乗馬での重心の考え方!一つだけ、実験に付き合っていただきたいのですが、前ならえをしてみて下さい。
そして、手の甲を上にして、その拳を自分の胸に引き付けてみましょう。肘は横に開いて、拳は内側に畳まれると思います。
同じように、もう一度前ならえをしていただいて、今度は拳を立てて自分の胸に引き付けてみて下さい。
肘は下に下がっていきますよね。そして拳は、下から上に畳まれます。
これは、拳を立てた時と、寝かせた時で、引っ張る時に腕がどう動くかという実験です。
今の結果通り、拳を立てると、上方向に腕が向くんですね。これが、拳が上がっちゃうと言われる悩みの原因です。
もちろん、正しいブレーキの仕方や、力の入れ方を覚えたら解消されるものなんですけど、やっぱり初心者の方って、何かあったら、体を縮めるんですよ。
これで悩んでる方は、拳を立てる練習をする前に、まずはブレーキの方法などを練習した方が良いと思います。
馬を止めるのは力じゃない!芯を持ったブレーキの方法!まとめ!
今回は、拳を立てる理由と、そのメリット、デメリットについて解説しました!
僕の意見をまとめると、「拳を立てるのは構わないが、その前に胴体という芯をしっかりしないと、体ごと持って行かれますよ」というのがまとめです。
今回に限りませんが、基本的な教え方や、教科書に書いてある事に対して、違うという意見って、あまり聞かないと思います。
なので、あくまで一つの考え方として、聞いてくれたら結構です。
ご覧いただき、ありがとうございました!