馬に指示をしたいんだけど、元気だったらどうしよう…。何か、馬のやる気やパワーを確認する方法って無いの?
そんな悩みにお答えします!
合図の加減って、とても難しい悩みなんですよ。馬によって感度も違うし、ぶっつけ本番で、ピッタリの合図をしてと言ったって無理があります。
そこで今回は、脚、鞭合図の加減を知る方法について、解説をしたいと思います!
結論:脚合図の加減は、馬のやる気で判断しよう
結論、脚合図の加減を知るには、馬のやる気を確認出来るようになる必要があります。
やる気が充分な馬を蹴っ飛ばしてしまったら、飛んで行ってしまいますし、やる気が全くない馬に、ちょっとの合図をしても、反応してくれません。
まずは、馬というタンクに、どれくらいエネルギーが溜まってるかは感じ取れるようになりましょう。
なお、以前作った、馬の感情表現を知ろうという記事が、今回の内容を補足するうえで非常に役立ちます。良ければご覧ください。
馬の感情表現を知ろう!リラックス中や怒ってる時の特徴は?馬のパワーの確認方法
ここからは、自分の馬が、どれくらい元気なのかを判断するポイントを、5つ紹介します。
- 合図への反応
- 馬の足取り
- 鼻息の強さ
- 首の振り具合
- 自分が、拳を楽に出来るか
解説していきますね。
レッスンが始まったら、最初にやる事として、発進合図にならないくらいに脚を当ててみましょう。
本当にやる気が十分な馬は、エレベーターのボタンを押すくらいのタッチでも反応します。
いきなり強い合図をして、飛んで行かれても怖いので、弱い所からレベルを上げてみましょう。
ただ、あまりにも変化がちょっとずつだと、馬も合図だと意識してくれません。5段階くらいで良いと思います。
当てる→挟む→ノック→軽いキック→かかとを入れるくらいですね。
ここまでやって、反応がないのを確認して、初めてしっかりキックです。
また、逆に反応してくれない馬は、この段階で反応するようにしないといけません。
動かしにくい馬への対応は、別の記事を作っています。よろしかったらご覧ください。
どうして動かない?重い馬の動かし方は?原因と対処の方法のんびり歩いてるか、ハキハキ歩いているかで、馬の元気度合いも変わります。
自分で足を引っ掛けてしまうくらいのんびり歩く馬もいれば、前の馬に追いついた上に、勝手に走り始めてしまう馬も居ます。
経験上、大体の馬は、足取りと性格は比例してると思います。軽やかな回転をしているのに走らないという馬は見た事が無いですし、のそのそとしているのに鋭く走るという馬も、正直見た事がありません。
なので、自分が乗っている馬の足取りは、よーく観察しておいてください。特に、いつも乗ってる馬の足取りが違ったら要チェックですよ。
鼻息は、どれくらい筋肉を踏ん張っているかを伝えるサインです。
リラックスしている馬は、人が乗っている最中でも、溜め息をつきます。基本的には褒めて良いですが、脚合図に一切反応しない馬が溜め息をついていたら、それはさすがにリラックスしすぎです。
逆に、一瞬で吐き切るような鼻息をしてる時は、全身に力が入っています。間違っても、着火させるような合図はしないでくださいね。
馬が首を振る理由はいくつかありますが、体内にエネルギーが溜まっている馬は、特に頻繁に首を振るようになります。
逆に日向ぼっこをして、ボーっとしている馬って、首を伸ばしてトローンとした顔をしている印象ですよね。
首にどれだけ力が入っているかは、馬がどれくらいストレスを抱えてるかと比例します。
首をたくさん振っている馬には、余計な刺激は与えないようにしましょう。
なお、ここで注意なのは、首を下げているから合図を強くして良いってわけではないという事です。
完全リラックス状態から、いきなり鋭い合図を受けたら、馬は驚いてパニックになります。一度軽い合図を入れて、人間に意識を戻してから発進合図を行いましょう。
ここまで、色々な事を言ってきましたが、騎乗中に1つ1つの事を思い出すのは難しいと思います。
そこで、とっておきの方法です。もし、馬のパワーを確認したくなったら、「今、私は手綱を放して大丈夫かな?」と考えてみて下さい。
僕たちって不思議な事に、本能的に、身の危険は分かるんですね。
その時の状況に安心できる時は、手綱を放せますし、内心ヤバいと思っている時は、手綱を放せないどころか緩める事も出来ません。
危ないので、実際に放さなくて良いですが、本当にこれだけで、馬のパワーの確認が出来ます。嘘かと思う人は、一度試してみて下さいね。
まとめと、ちょっとしたアドバイス!
今回は、脚合図の加減と、馬のパワーの確認方法について解説しました!
馬の様子を理解できるようになり、的確な脚合図を送れるようになりましょう。
最後になりますが、個人的に思ってる事を、一つだけお話ししたいと思います。
馬は、自分でも抑えきれないくらいの爆発的なエネルギーを、体の中で生み出すことが出来ます。
理性と本能を50%ずつ持っている人間ですら、怒り、悲しみ、喜びといった感情で我を忘れた行動をするんです。本能が100%の動物はもっとすごいわけですよ。
ましてや、人間とは比べ物にならないくらいの筋肉を持ってるので、本気で我を忘れたら、それはとんでもない力になります。
先程説明した足取りも、鼻息も、首振りも、まとめてしまえばじっと出来ないくらい興奮してるから起こる現象なんですね。蒸気機関車の汽笛じゃないですが、体の中にエネルギーを閉じ込められないから、何とかして外に出そうとするわけです。
そうなってしまった馬を何とかするのは、一般の方レベルでは無理でしょう。
今回お話しした、馬のパワーの確認方法は、自らの危険を事前に察知する方法でもあります。もしかしたら、全ての技術の中で、一番大事なものかもしれません。
ほとんどの馬は、そこまで暴れ狂った状態にはなりませんが、判断基準を持っておくのは良い事だと思います。
なので、日頃、大人しい馬に乗っている時に、ぜひ身に着けておいてください。
少し怖い話になりましたが、知らないよりは知っておいた方が、後々絶対役に立ちます。
何かあってもこうすれば良いのね、という知識を覚えて、安心して馬に乗れるようになりましょう。
ご覧いただき、ありがとうございました!