馬にちょっかいを出されたり、擦り寄られたりするけど、これって良い事なのかな?可愛いから許しちゃうけど、なめられてない?
そんな疑問にお答えします!
今回は、馬との距離感と、パーソナルスペースについて解説しますね!
馬の格上、格下のルール
さて、洗い場に限らず、時に馬は、自己主張をしてくる動物です。曳き馬中、自分に寄ってくる。服のすそを噛んで引っ張るなどですね。
もちろん、主張をして良い相手だと思われてるのは良い事です。「この人、怖い人だ」と思われていたら、主張をする前に逃げていきますからね。
ですが、主張を通り越して、ワガママを言って良い相手だと認知されているとしたら、これは厄介な問題になります。
馬という動物は、より自分のワガママが通じる方が格上。より振り回される方が格下というルールを持っています。
例えば、俺が最初に餌を食べるんだと周りの馬を蹴散らす。俺がそこを通るんだとアピールをして、周りの馬が避けていくなどですね。
これは、相手が人間でも変わりません。
例えば、曳き馬で馬に引きずられる。おねだりされたから、餌をあげるなどの行為を繰り返すと、ワガママが通った馬が格上で、それに付き合わされた人間が格下になってしまうんです。
馬のパーソナルスペースについて
また、馬が持つ考え方の1つに、「パーソナルスペース」という概念があります。「私のエリアはここ」という、動物が自然に持つ考え方です。
これは、普段意識しないだけで、人間も持っている感覚です。
例えば学校の先生が、自分の机の前で仁王立ちをして授業をしていたら、教卓で授業をしている時と内容は同じなのに、「離れろよ」って思いますよね。
このように、パーソナルスペースを侵害する行為は、侵害された側にプレッシャーを与えます。
馬は特に、この考え方をコミュニケーションで多用します。
この考え方を応用すると、馬に触れずに、馬の動きをコントロール出来るようになります。
それを応用して、指導員はレッスンを行い、牧場スタッフの方は馬をしつけているんです。
これを知ると、ちょっかいを出すという行為は、明確にパーソナルスペースを侵害している事が分かります。
だって、嫌がってるのに、それでもエリア内に踏み込んで、接触をしてくるわけですからね。
そのため、本来は、馬にちょっかいを出された時点で、少なくとも「格上」とは思われていません。そういう事をして良い相手だと思われてるという事です。
これがエスカレートすると、タックルをされて人間のエリアを侵害されたり、首を振られて弾き飛ばされたりという行為をされるようになります。
※「格下」と思われてるとも限りません。良い意味で、「仲良し」かもしれないです。
線引きをしよう
こうした事情から、僕たちは、馬と明確に線引きをする必要があります。
子供の時から甘やかしてたら、大人になって手が付けられなくなったのと変わりありません。駄目な事は駄目だと、叱る時は叱る必要があります。
基本的な事を言えば、こちらから招き入れる行為をしていないのに、馬がいたずらをしてきた段階で、叱る対象です。
馬相手に同じ事をしたら怒られますし、それが馬同士のルールです。
とはいえ、そこまで厳しくしなくてもと言う方もいると思います。
私だって馬に触りたいし、馬の方からくっついてくるのも、心を許してる証拠じゃんという方もいるでしょう。
先程のパーソナルスペースの話も、信頼関係によって大きく左右されます。
相手が知らない人の時と恋人の時とでは、対応が違うのは普通ですよね。
それだけの信頼関係が出来てれば、身近な距離で接するのも、「絶対ダメ」というわけではないです。
現に、馬に抱き着いたり、馬と楽しそうに遊んでいる人の映像を見た事がある人はいると思います。
ただ、初心者の方は、どこまでが馬の甘えで、どこまでがワガママなのかが分かりません。
甘えてきてる馬に「近寄るな!」とは言いたくない。だからって、「可愛いねー」と言ってたら突き飛ばされた、噛まれたというのも嫌ですよね。
そのため、自分の中で、明確な基準は絶対に決めて下さい。
例えば、歯が当たったらダメ。力でアピールをしてきたらダメ。などですね。
これって怒って良いのかな?と悩んでる間に、注意されなかった馬の行為は、エスカレートしていきます。それなら、自分ルールでも、明確な線引きがあった方が良いです。
大事なのは、その線引きを越えた瞬間に、「ダメだよ」と対応する事です。でないと、線引きが曖昧になってしまいます。
歯が当たった瞬間に、警報機が作動したから、歯を当てちゃいけないんだと思うわけですよ。
歯を当てて、しばらくしてから警報機が鳴っても、馬は歯を当てるという行為と警報を結び付けられません。
怒ると言っても、馬を叩いたりする必要はありません。一瞬だけ鋭い動きをしたり、ハッキリとした口調で注意するだけでも伝わります。
「あ、なんかのスイッチに触れちゃったんだ」と分からせれば、それで十分です。
線引きの注意点
さて、馬との距離感や、パーソナルスペースについて解説をしてきました。
最後に、先程説明した線引きについて、2点ほど注意をしたいと思います。
- 人間側もルールを守る
- 力を使ったアピールに対抗しようとしない
解説していきましょう。
馬がちょっかいを出すのは許さない。でも、私は馬に触る。
これは、非常に矛盾しています。
ルールを提示している側がルールを破ってるのなら、馬だってそれは守りません。意外と、ここを意識してない方は多いです。
例えば、馬房に入る時ですね。
馬には寄ってくるなと言うのに、自分はズカズカと馬に近寄る方は、けっこう居たりします。
線引きが不明確だと、馬は迷ってしまいます。結果、「何をしたら怒られるか分からない」とコミュニケーションをしなくなったり、悪気もなく危ない事をするようになります。
僕もなりがちですが、自分に甘くなってないかを確認する癖をつけましょう。
もし馬が、力を使って、線引きを越えてくるようになると、それは初心者の方では対応出来ません。
そのような場合は立ち向かおうとせず、しっかりと馬を怒れる人に対応してもらいましょう。
間違っても、自分で何とかしようとは思わないで下さい。
まとめ!
今回は、馬と接する上で大切な、距離感とパーソナルスペースについて解説しました!
僕たち人間は、言葉を使ってコミュニケーションをとりますが、馬はその方法を使っていません。
そのため、人間の当たり前で考えず、馬のルールを知る事が、付き合う上で大切になります。馬の事を理解してあげましょう。
また、以前僕は、こちらの記事で、馬との接し方について解説しています。
初心者必見!安全な馬の触り方と、コミュニケーション方法!こちらの内容も参考になると思うので、興味があれば、ご覧ください。
ご覧いただき、ありがとうございました!