馬に反抗、されたくないなぁ…。将来的には反抗する馬も乗れるようにならなきゃいけないんだろうけど、やっぱり反抗されないに越した事はないよね。何を注意すれば良いのかな?
そんな悩みにお答えします!
今回は、馬の反抗を未然に防ぐ方法について解説をしたいと思います!
なお、今回の記事は、「爆発しそうな馬を抑え込む方法」ではありません。「乗り手が原因で、馬に反抗される事を防ぐ」という内容です。
乗り手が何もしてないのに、馬が元気という時は、今回の記事は通用しません。すぐに馬から降りましょう。
馬が反抗する理由
結論、馬が反抗をするのは、「言う事を聞きやすい環境作りを、事前にしてなかったから」です。
極論ですが、言う事を聞いておいた方が得だなって思ってもらえたら、どんな馬でも言う事を聞くようになります。
この人の指示は間違いない。この人が騎乗してる時は遠慮せずに動いても大丈夫。痛い体に気を遣ってもらえる。
そんなメリットがあるから、言う事を聞くわけですね。乗せてるだけ苦労する人を、好んで乗せたいとは馬も思いません。
ただ、初心者の方に、馬にメリットを提供しろと言われても、それは難しいですよね。
となると、いかにデメリットを与えないかが、言う事を聞いてくれる鍵となってきます。
喜んで言う事を聞く、まではいかないかもしれませんが、抵抗、反抗をされないようにはしておかないといけません。
ここからは、どんな行動が馬にデメリットを与えているのかと、指示をする上で覚えておいてほしいポイントについて解説をしていきたいと思います。
馬が、乗り手にされて嫌なこと
馬が、乗り手にされて嫌な事は、以下の4つです。
- 予告もない、急な指示
- 不明確な指示
- 馬に依存した騎乗
- 自己中心的な騎乗
解説していきますね。
何もなく、穏やかにしてるところに、突然強烈な指示が来たら、馬も驚きますし怒ります。
騎乗中にボーッとしてる馬が悪いし、こっちの指示は間違ってないというのは、乗り手の勝手な都合です。
休憩時間と思わせるほど放置していたのにも原因はありますし、馬に動いてもらってる以上、僕たちは馬の都合も考えないといけません。
例えば、速歩の指示は出したけど、時速何kmで走るのかを決めてなかったり、かかとでしがみついていながら、走るなと言ったりですね。
分からない分、馬なりにかんがえてやったのに、それは違うと言われると、乗り手への不信感に繋がります。だったら最初から決めておけよって話ですね。
厳しい話ですが、これも馬が嫌がる事の一つです。
騎乗時のバランス、加速への対応など、自分のこともままならない乗り手に乗られてても、馬も苦労するだけです。
中には、自分が動けない原因を作ってるにも関わらず、どうしてこの馬は動かないんだと怒り始める方も居ます。
初心者のうちは仕方ない事ですが、出来る事なら避けておきたい項目です。
乗馬は娯楽の1つではありますが、だからといって、馬の事を考えない騎乗は、反抗の原因に繋がります。
これは、初心者に限った話ではありません。むしろ、ある程度乗れるようになった経験者の方に多く出てくる項目です。
内方姿勢、ツーポイント、ハミ受け。屈頭。こうした専門的な技術を試したり、自己顕示欲の為に披露したがる人がいますが、本来必要ない事を、明確な理由もなくやらせるのは、馬からしても意味不明です。
心当たりがあれば、今後は控えておきましょう。
指示をする際に気をつけておきたい事
指示をする際に気をつけておきたい事は、以下の4つです。
- 事前に指示を予告しておく
- 1つ1つの指示の意味を、自分が理解する
- 自らが、弱点の対策を先にしておく
- 出来たら褒める
解説していきますね。
急な指示にならない為に、やっておきたい項目ですね。
キックする場所に、事前に軽く足を当てたり、手綱を引く前に軽くハミをかけ、口に意識を向けておくと、これから何かあるなと、馬も準備をし始めます。
例えは悪いですが、これから風船が割れますと教えてもらってから割られるのと、何の前触れもなく割られるのでは、ショックや気構えが違いますよね。
本当に少しですが、この少しが、けっこう大事になってきます。忘れないようにしておきましょう。
不明確な指示にならない為の項目です。
乗馬で教えてもらう事って、そのほとんどが初めての事ばかりだと思います。
それを、不明確のまま、流れ作業でやっても、大抵は上手くいきません。
時間はかかりますが、本当に馬をスムーズに動かしたいなら、1つ1つの行動に、なぜこのタイミングで、どんな効果があってやるのかを理解しておきましょう。
出来る事なら、ですよ。馬に「どうしてその指示をしてるの?」と聞かれた時に、しっかり返せるようになってほしいですね。
基本的に、レッスンにレベルや、ステップがあるのは、自分が出来る以上の事を考えなくても良いようにするためだと思います。
焦らず、1つ1つ経験を積んでいって下さい。分からない事があれば、担当の方でも、僕にでも聞いていただいて構いません。
行動の意味が分かれば、判断が早く出来るようになりますし、素早い判断が出来るようになれば、余裕も生まれます。その余裕が視野を広げ、事前の準備や対策に繋がりますよ。
乗馬は馬に動いてもらうもの。確かにそれは正解ですが、乗り手の技術不足や弱点を、全て馬に補ってもらうのは間違いです。
ほとんどの方は、こんな事はありませんが、時々、上手くいかないのは馬が悪いと言う方がいます。
ですが、違う人が上手に乗っている以上、原因ほとんど乗り手にあります。
馬のせいにしないようにしましょう。どんな馬でも乗りこなしたいと思っているなら、その考えは捨てた方が賢明です。
乗馬施設の馬は、そういった方が乗っても大丈夫なように訓練されていますが、だからといって、負担をかけ続けて良いわけではありません。これ、お前の仕事だろ?って、清掃員に向かってごみを投げつけるようなものです。
初心者のうちは、馬に負担をかけるのは仕方ありません。誰でも最初から上手には乗れませんし、上手に乗れている方も、たくさんの馬に負担をかけてここまで来ています。その分、後から恩返しをしてますけどね。
ただ、もし出来るなら、明確な意図もなく、馬に負担をかける乗り方をするのは止めましょう。
出来ない事を無理にやるのではなく、自分がその知識や技術をしっかり理解して、納得してから、馬に分かりやすく伝えてあげて下さい。
小さな事ですが、大事な事ですね。
派手に褒めるよりも、良い反応をしてくれた度に褒めるのがポイントです。その方が馬も、何をしたから褒められたのかが明確に分かりますし、常に自分に意識を向けてもらえてるのを喜んでくれます。
乗せてくれている、動いてくれている馬への感謝を忘れないようにしておきましょう。
まとめ!
今回は、馬が言う事を聞きやすい環境作り、事前準備について解説しました。
簡単なように思えて、実はけっこう難しい内容です。馬ではなく、自分の課題を突き詰めないといけないわけですからね。
ところで、最後まで読んでくれた皆さんに、もう1つだけお願いです。もし良ければ、最初のもくじをご覧ください。
実は、もくじに限らず、今回のお話って、いくつかの言葉を入れ替えると、人間社会でも通じる内容になります。なんだと思います?
正解は、乗馬・騎乗が「仕事」、馬が「部下」、乗り手が「上司」です。
これって、組織のマネジメントや、リーダーシップ論の自己啓発本に書かれている内容と、全く同じなんですよ。気になったら、もう一度最初から読んでみて下さい。
以前から言ってますが、僕が「乗馬はコミュニケーション」と言っている理由はここにあります。
馬に上手に乗れるようになる事は、突き詰めていくと、言う事を聞きたいと思ってもらえるような人間になる事なんですね。
馬とのルールの違いは、僕が伝えていきます。馬に慕ってもらえる人になれるよう、一緒に頑張っていきましょう!
ご覧いただき、ありがとうございました!