内方姿勢っていうのを習ったけど、ちゃんと出来ているのか、いまいち実感できない…。どうなっていれば正しいの?どうして内方姿勢をとるの?
そんな疑問にお答えします!
乗馬で教わる内容の中でも、特に重要な項目が内方姿勢になります。
教える人も、ある程度以上になると、当たり前のようにこの言葉を使うんですよ。ですが経験上、違った意味で覚えている人が多いようにも思います。
そこで今回は、内方姿勢について解説をしていきます!
内方姿勢とは
内方姿勢を一言で表すのは難しいですが、初心者向けに言ってしまうと、「馬が曲がりやすい姿勢」になります。
当たり前でしょって思うかもしれませんが、意外とここで、思い違いをしてる人が多いです。
じゃあ、馬が曲がりやすい姿勢って、どんな姿勢なんでしょう?
頭が進行方向に向いている。正解です。けっこう多くの方が、内側に頭の方向を向ける姿勢を、内方姿勢と考えています。
では1つ質問です。馬でも人間でも良いですが、左カーブをしたいとしましょう。頭が左を向いていて、体も左に傾いていたら、どっちの脚が上げにくくなるでしょう?
想像出来ましたか?全体重が乗っている左脚が上げにくくなるんですよね。あれ?左に行きたいのに矛盾が出てきましたね。
初心者の方が、内方姿勢を意識しても、きれいなカーブを描けない理由がここにあります。
左に行きたいがあまり、左に引っ張った結果、足が上がらなくなった馬は、体を傾けることでしか曲がれません。だから、内側に倒れすぎてショートカットをするように切れ込んでいくんですね。
行きたい方向に、頭や首を向けるだけが、内方姿勢ではないんです。
どうなってれば内方姿勢なの?
では、どうなってれば、しっかりとした内方姿勢になるのでしょうか?
結論だけ言うと、「右脚と左脚の体重のかかり具合を変えないように、左カーブの姿勢をとる」が正解です。
頭や首を左に向ける。でも、そのまま体も左に流れてしまうと、体重が左に傾いてしまう。
なら、頭と首は左に向けておいて、左に行ってしまったバランスを、体だけ右に起こす事で、中央に戻すんですね。頭が左に2傾いたら、体を右に2起こして、プラスマイナス0といったところです。
そうすると、頭の方向に足を運びやすく、人間がバランスのサポートをしてくれるから歩きやすく、左脚に体重が乗ってないから持ち上げやすいという状態になります。これが内方姿勢ですね。
うまく内方姿勢を馬を上から見ると、体が弓なりのように曲がっています。頭が左に向いているのに対して、体が右に起こされてる関係で曲線になるんです。
具体的なやり方
内方姿勢が難しいのは、押し手綱と開き手綱、内方脚と外方脚を全て使わなければいけないからです。
ですが、1つ1つ順を追っていけば、理解は出来ると思います。
こちらが、内方姿勢を作る上での手順になります。
- 馬を内側に向ける
- 首の形を作る
- 体を起こし、内に傾かないように支える
- 首の向きと、体の傾き具合で、姿勢をコントロールする
解説していきますね。
まず、内側の手綱を本当に少しだけ開き、馬の鼻先を進行方向に向けましょう。
この時、馬が曲がり始めてくれなかった場合、多少内側の手綱は引っ張っても構いません。外側の手綱と外方脚も併せて使って、まずは軽く内側に馬を向けて下さい。軽くで良いですよ。
基本的に、思いっきり走っていない限り、内側を向いてくれれば、馬は自動的に曲がりに行きます。
ただ、どれくらい曲がるのかは分かってないので、そこは人間が、サポートをしてあげる必要があります。
曲がってほしいところまで行ったら、それ以上馬の首が伸びていかないように、開いていた手綱を静かに押し手綱に切り替えましょう。スムーズな馬なら、拳1個分くらいの移動で大丈夫です。
この時、わずかで良いので、馬の顔は内側を向いた状態をキープ出来るようにしましょう。指に掛かる重さを変えずに押し手綱に切り替える事が出来れば、馬の顔の位置は変わらないはずです。
先程の押し手綱と、内方脚を使って、馬の体を、倒れないように起こしておきましょう。
ポイントは、首より前肩を、外側にしておくことです。
洗い場で横に押した時もそうですが、馬は肩から横に移動していきます。なので、肩を内側に残しておくと、そこから体も内側に倒れていきます。
少しでも体が進行方向より内に入ったら、押し手綱を強め、脚の付け根から内方脚で引き込む事で、馬を起こしてあげて下さい。
また、外側の開き手綱を使う事で、体を起こすアシストも出来ます。
ただこの時、内側の押し手綱より、外側の開き手綱の方が強いと、馬の首が外を向いてしまい、内方姿勢ではなくなってしまいます。
外側の手綱を使うなら、それ以上に内側の手綱を使う事を忘れないで下さいね。
ここまで出来れば、内方姿勢の完成です。
あとは、両方の手綱、両方の脚で、馬を一定の形にし続けましょう。
ただ、ずっと「その形でいろよー」とプレッシャーをかけ続けるのは良くないです。正解の形をしてるのに、プレッシャーをかけられるのは、馬からしたら意味不明ですからね。
形が崩れそうな時に、崩れそうな所だけチョイっと直してあげて下さい。これに気づく速さと、直す加減が難しいのですが、頑張って慣れていきましょう。
気を付けるポイント
内方姿勢を作る上で気をつけたいポイントは、以下の2点です。
- 「馬体を外側に」という意識を忘れない事
- 内側、外側の手綱の加減
解説していきますね。
内方姿勢を作ってもらおうとすると、頭を30度曲げて、体を20度曲げれば曲線になるでしょ?という人がいます。
曲線にするという部分は合ってますが、あくまでも、馬体を外側に起こす事で姿勢を作るのを忘れないようにしてください。
最初にお話ししましたが、内方姿勢は、曲がりやすい姿勢を作りながら、内側の脚の負担を軽くし、上げやすくする事に意味があります。
これが後に、脚を大きく上げる駈歩発進などに繋がってくるわけですね。馬体が内側に傾いていたら、脚が上げにくいのは変わりません。気を付けてみて下さい。
やり方の中でも話しましたが、馬の首が内側を向いている事に意味があります。
ですが、それぞれの手綱の加減を間違えると、馬は簡単に外を向いてしまいます。
詳しくは、隅角通過の記事でお話ししますが、基本的に馬は、首が向いている方向と逆方向に体重が移りやすくなります。なので、外側を向いた状態でカーブをすると、内に切れ込んでくる可能性がより高くなります。
なぜ内に入られる?隅角通過のやり方と、注意点を解説!外に行ってほしいのに、中にショートカットされてしまう事は誰しも経験があると思います。手綱の加減に気を付けて、馬には内側を向いてもらうようにしましょう。
まとめ!
今回は、内方姿勢の目的と、作り方、気を付けるポイントについて解説しました!
具体的な内容になったので、ちょっと言ってる事が分からなくなった方もいるかもしれません。ですが、ただ内側に曲げれば良いってわけじゃないのねとは、覚えて頂ければ幸いです。
最初にも言ったように、この先、かなりの上級レベルになっても、この内方姿勢という考え方は使います。
最初で覚え違いをすると、今後出てくる沢山の技術が違ったものになってしまうので、納得いく形で覚えられるようにしてくださいね。
ご覧いただき、ありがとうございました!