
馬って、僕たちが乗ってる時以外はずっと家に居るよね。牧場の馬は広い所を走ってるよ?どこでストレスを解消してるの?
そんな疑問にお答えします!
今回は馬のストレス解消の手段として、放牧について解説をしていきます!
この記事のもくじ 閉じる
放牧とは

一定以上の広さのある場所に馬を放し、自由にさせてあげる事を放牧と言います。
馬にとって、自分の好きなように動けるほど気持ち良い事はありません。ましてや日頃いる乗馬施設や牧場では、周りに外敵がいない事も知っているので、心置きなく自由に振舞えるわけです。
中には放されたところでボーっとするのが好きなんだとジッとしている馬もいますが、基本的には歩き回ったり、走ったりする馬が多いです。
もちろん自由に走り回れるくらいに広い方が良いですが、だからといってスペースが小さいのが駄目かと言ったらそうではありません。
上の写真のようなパドック放牧もそうですが、10m×10m程度のスペースもあれば放牧自体の効果はあります。乗馬施設はスペースの関係上、この形態をとっている事も多いです。
競走馬における放牧と、外厩制度
競走馬の場合、レースの疲れが溜まってきた頃に、普段からいるトレーニングセンターという訓練専門施設から、北海道などの牧場にリフレッシュをしに行きます。これを放牧という場合が多いです。
中には生まれ故郷に帰ってくる馬もいます。精神的にもリラックスできると思います。
ただ競走馬の場合、休養をしたから筋力が落ちちゃいましたというわけには行きません。
リフレッシュという名目が無くならない程度には、運動も同時に行っています。レースとレースの間が短い時などに行う一時的な放牧を「短期放牧」と言います。
また、競馬界には「外厩」という、トレーニングセンターよりも広く、優れた設備のある牧場が存在します。
いつもと違う環境で、いつも以上に効率の良い調教をする事で、いつもほど懸命に走らずに体を維持する事が可能になっています。
最近はいかに上手く外厩を使うかも、強い馬づくりのために考えないといけない項目になってきています。
放牧のメリット

放牧のメリットは、以下の通りです。
- 栄養満点の草を食べられる
- ストレスのない、自発的な運動が出来る
- 避暑の効果もある
- 何より解放感
解説していきますね。
草地に放牧された場合の、一番のメリットはこれでしょう。自然の中で太陽の光を浴びて育った、栄養満点の草を食べられる事です。
いつも馬が餌として食べている草は、長期間置いておく関係上、腐らないように乾燥させたものになります。
もちろんそれでも体を成長させる事は出来ますが、新鮮な生の草には、栄養素的にも美味しさ的にも歯ごたえ的にもかないません。
同じ「走り回る」でも、人に走らされている時と自発的に走っている時は、全くと言って良いほど効果が違います。
乗っている方の事を考えて、乗っている人の迷惑にならないようにしながら、限られた筋肉だけを踏ん張る運動は、馬からしてもとてもストレスです。
一方で放牧されている時は、どんなに好き勝手な動き方をしても良いんです。これでもかというくらい首を振り回したり、2回3回4回と連続で跳ねまわっても、何も文句は言われません。
昼夜ずっと放牧していた馬は、1日16kmも歩いたり走ったりし続ける事が確認されています。本当はそれだけ体を動かしたいんでしょうね。
また、自然に出来た斜面を走るのも、馬のバランス作りにとても効果を発揮します。
背中ものびのび使えますし、馬自体に自発的に運動をさせた方が、人が気を遣って乗るより体の状況が良くなる事も多いです。
多くの放牧地は木陰や、馬が雨に打たれないように避難する屋根があり、馬はそこで体を休めます。
また、夏場に北海道に戻った馬は、気温の面でも暑さをしのぐ事が出来ます。快適な気温はそれだけで気持ち良いものです。
これまで挙げてきたような特徴が放牧スペースに無くても、自由な場所に放してあげるだけで、精神的にリラックス出来るものです。
自分の好きにして良い時間があるというだけで、馬の心の拠り所が生まれます。好きにする事を許してもらえてるわけですからね。自分は認められてるという、人間からの証明にもなります。
だからこそ、「外に出るのは人が乗る時だけ、それ以外はずっと馬房」という待遇は、馬にとってあまり良い環境ではありません。
ちょっとした時間でも、放牧の時間は大事にしてほしいですね。
まとめ!
今回は馬のストレス解消の手段として、放牧について解説をしました!
運動、栄養補充、休息を同時に叶える素晴らしいもの。それが、放牧です。
前から言っていますが、どんなに上手な人が扱おうと、人が乗っている限り馬にはストレスがかかるものです。
競馬でも乗馬でも、しっかりとした息抜きがその後の活躍に繋がっていきますよ。
ありがとうございました!