馬に乗っていると、正しい姿勢と言われるけど、真っ直ぐしててもグラグラする。結局、どうなってるのが正解なの?
そんな疑問にお答えします!
今回は、基本姿勢について、一か所ごとの意味も交えながら、最終的な形を解説しますね!
結論:基本姿勢とは
結論だけ言うと、馬の背中にぴったりはまって、ズレなくなるのが正しい姿勢です。
馬の動きに自然と付いていけるはまり方というのを、専門用語で騎座といいます。
厄介なのは、ただ座ってれば良いだけじゃないという事。
例えば、自転車の上にマネキンを乗せたとしましょう。この時、自転車だけが突然発進したら、たぶんマネキンってその場で転げ落ちると思うんですよ。
座りに悩む方って、これと同じ事をやってしまってます。「座れ」って言われたから、言葉の通り「座って」るんです。
でも、今の質問で何となくは、マネキンが自転車から転がり落ちるのは想像がついたかと思います。
なぜかというと、馬についていける体勢だったり、自分の体が外れないような固定が出来てないからです。ただ「乗ってるだけ」なんですね。
馬には、シートベルトも、背もたれもありません。なので僕たちは、唯一馬にくっついてる下半身で、馬の動きについていける形、馬からはがれない形を作らなきゃいけないんです。
もちろん、馬体を挟んだりするのも大事なんですけど、要はやり方なんですね。
例えばさっきのマネキン、座ってるお尻の部分や、脚の部分にガムテープを貼ったとして、加速に耐えられるでしょうか?たぶん、ガムテープがあるからはがれないだけで、実質、体は飛んでいきそうになってると思います。
どうしても僕たちは、「座る」と言われると、お尻に全体重を乗せに行きます。
それは、日常生活での「座る」という言葉の意味がそうだからです。誰も、お尻はわずかに椅子に付けたまま、空気椅子をしてる人なんていません。
教える側の言い方の問題もありますが、乗馬ではそれではいけません。お尻だけに全体重をかけ、あとはブラブラしていたら、だるま落としのだるまのように、馬という土台が動いた瞬間、落っこちてしまいます。
正しい鞍へのはまり方を、覚えていきましょう。
基本姿勢の作り方
基本姿勢ですが、4段階に分けて作っていきます。
- まず、ただ跨がる
- 太ももをニーパッドに添える
- 膝下の位置を決める
- 骨盤の角度調整
解説していきますね。
まずはゆっくり、馬の上に乗ります。
そしたら、リラックスしましょう。
この時、骨盤の角度とか、姿勢を真っ直ぐとかは、一切気にしなくて構いません。ただ、のんびりぶらりと座ってましょう。
なお、発進合図になってしまうので、足は当てないで下さいね。
脱力が大事ですよ。
次に、太股ですね。
大体の鞍って、膝の部分にクッションが付いてると思うんですよ。これを、ニーパッドといいます。
そこに、膝上を添えるようにくっつけて、そのまま馬体を挟んで下さい。膝のお皿より拳一個分くらい上(太ももの一番下の部分)が、ニーパッドに当たると良いです。
挟むと言っても、ギュッと挟むのではなく、鞍と太ももが摩擦でズレないくらいです。添える、ですかね。
ここで意識してほしいのは、脚を横向きに万力のように絞めるのではなく、ほんの少しニーパッドを前に押しつけるようにするという事ですよ。
残るは膝下と骨盤ですね。
膝上をニーパッドに添えるために前に出したからと言って、「伸ばす!」って意識をしなければ、足首の重さで、膝下は自然にブラブラしてると思います。
それを少しだけ曲げて、立つ時に一番自分が踏ん張りやすいポイントに足の裏を置きましょう。 椅子に座ってると、イメージしやすいですね。
かかとは、下げれたらその方が良いですが、「下げる!」と意識した結果、これまで作ってきた形が変わるなら、下げなくても良いです。
最後に骨盤ですね。
これまで解説した通りに進んできたら、腰は少し後ろに寝てると思います。
後は、上半身を少し起こし、骨盤をちょっとだけ立てれば完成です。
いつもの「真っ直ぐ」と言われる姿勢に近づけますが、ここで、先程まで作ってきた足の形が変わるのであれば、無理に真っ直ぐにしなくても大丈夫です。
この時、肩の位置はその場に固定する意識で、胴体だけ起こす事が出来ると、前傾姿勢にならずに済みますよ。
この姿勢をする理由
これが、僕なりの基本姿勢になります。
なお、この乗り方は、座りっぱなしで居る時の乗り方と仮定してるので、 軽速歩や、ツーポイント騎乗の時は少し違った姿勢になります。ご了承下さい。
では、ここからは、なぜこの姿勢をしてもらったのかを解説したいと思います。
- 膝上から股関節の間で、根っこを生やさなきゃいけないから
- 脱力出来なきゃいけないから
- 足から形を作っていくと、骨盤がはまらなくなるから。
解説していきますね。
骨盤を立てて、姿勢を真っ直ぐにしたら、重心も真っ直ぐになって安定する。よく言われませんか?
乗馬の教科書には、必ずと言っていいほど書いてある項目です。
では、ひとつ質問をしましょう。
あなたがテーブルの上に「真っ直ぐ」立ってるとしましょう。思いっきりテーブルクロスを引かれたら、さて、どうなるでしょう?
…踏ん張ってるイメージって出来ました?
重心を真っ直ぐにしておけば、胴体という木の幹がしっかりして、加速に負けない。これは正解は正解なんですけど、乗馬って、馬という地面から動いてるんですよね。
なので、下半身という根っこが、土台(鞍)とくっついてなかったら、加速に置いてかれてしまいます。
不謹慎なつもりで言うわけではないですが、 どんなに「俺は耐える」って言ったって、 震度7の地震が来たら体は吹っ飛びます。
じゃあどうしたら良いかって、それだけ揺れてても大丈夫なバランス感覚を持つか、地面自体に根っこを生やすしかないんですね。さらに言うと、初心者の方にバランスを求めるのは難しいので、まず覚えるべきは、鞍への固定なんです。
それを無視して、お尻から上だけ姿勢を真っ直ぐにしたって意味が無いんですよ。
僕が、膝上の部分が鞍に付いてると良いと書いたのは、ニーパッドに太股を固定してもらう事で、下半身の安定感が上がるからです。
膝から下って、鐙が脱げないようにしたり、脚合図をしたりで、なんだかんだ挟めないじゃないですか。 だから膝上に、下半身を固定する場所を作りたいんです。
馬場馬術という、座っての騎乗がメインとなる競技のオリンピック選手などは、 みんな自分の足がスッポリはまるような鞍を持ってます。
そして、このニーパッドと、自分の太ももをピッタリくっつけることで、自分の体が飛んでいきそうになった時に耐えてるんですね。
ニーパッドに頼れって言ってるわけではないですよ? このような方々は、鞍が無くてもとても上手に騎乗されると思いますし、競馬のジョッキーさんなどは、 そもそも鞍にブーツしかついてませんからね。
でも、初心者のうちは、支えになるパーツは多い方が良いです。しっかり根っこを作りましょう。
揺れ動く地面に必死にしがみついてれば、なんとか乗ってはいられるかもしれません。
ですが、馬上での安定は、力で行うものではありません。
そうしていたら、疲れちゃったら馬には乗れなくなりますし、何より小さな子供は乗ってられません。むしろ、それが圧迫になり、馬が加速し、余計に乗ってられなくなってしまいます。
また、乗馬って、そこから脚合図だったり、馬の動きに合わせたりしなきゃいけないじゃないですか。
しがみついてるだけで精一杯の人に、足さばきって言ったって、出来るわけが無いんです。だって、離したら落ちちゃうんですから。
なので、ビシッとした姿勢を作る!腹筋背筋!足で挟む!とだけ言い続けるレッスンは、僕はどうかと思います。さっきも書きましたが、根っこが生えてなかったら、どんなに姿勢を真っ直ぐにしたって倒れるんです。
力を入れなくても自然と乗れる姿勢を作らないと、姿勢維持以外に体を使えないんですね。だから、鞍にはまるという書き方をしたんです。
今回、僕は最初に「ただ跨がって下さい。骨盤の角度とか気にせず、とにかく脱力が大事です」って書きました。
なんでそう言ったかというと、一番最初に「骨盤」を鞍にはめたかったからです。
さっきマネキンを例に出しましたが、例えば、マネキンを馬に座らせたとしましょう。
マネキンって、足が真っ直ぐですよね。なので、普通に座らせたら、膝から先くらいが、お腹より下にはみ出る形になります。
この時、アロンアルファなどを使って、股関節から順番に鞍と接着していけば、 足こそ鞍からはみ出すかもしれませんが、お尻は鞍に付けてられます。
ですが、逆に足から接着していったら、はみ出すのはお尻ですよね。鐙、ブーツ、膝上あたりまでは付くかもしれませんが、それより上は、ピンと上に伸び、軽速歩で立ってる時のようになってしまいます。
これ、けっこう多くの初心者の方が、勘違いをしてしまいます。
「鐙が脱げないようにしなきゃ」とか、「馬体を挟まなきゃ」など、足の方には意識が行きますが、お尻は本当に「ただ乗っかってるだけ」なんですね。だから、ちょっとした馬の揺れで、体が飛んでいって、怖い思いをするんです。
お尻を浮かさない為には、足ではなくお尻に、根っこを生やさないといけません。そのためには、他の部位より、まずはお尻の固定が重要になります。
根っこが生えれば、吹き飛ばないから安心して他の事が出来ます。体がグラグラしていると怖いですが、逆に、体が安定していれば、足がブラブラしていても怖くはありません。
だからこそ、最初に腰から鞍にはまりましょう。
まとめ!
今回は、正しい座り方について解説しました。
僕の考え方は、本当に我流なので、皆さんの参考になるかは分かりません。
ですが、しがみついてなくても乗ってられる形を作るなら、よりしっかり鞍に密着するか、股関節までで鞍を挟みこむしか、方法が無いのは事実です。
結果、僕自身が乗ってる時の感覚も踏まえ、今回のような書き方になりました。
基本姿勢は、初心者の練習から、競技に出る方まで、全ての基礎になる姿勢になります。
僕の書いた事だけにこだわらず、色々な方の意見を取り入れ、作りこんでいって下さいね。
ご覧いただき、ありがとうございました!