鐙って、すぐに脱げるよね。強く踏んでても「脱力」って言われるし、馬体を挟んだり脚を使ったりしてたらズレちゃうよ。どうすれば良いの?
そんな悩みにお答えします!
鐙は、ブカブカのサンダルと一緒です。脱げないようにするには、一工夫必要ですよ!
解説しますね!
結論:鐙が脱げるのは、足が浮いてるから
結論、鐙がずれたり外れたりするのは、足が浮いてるからです。
鐙の履き方とか、踏む角度とか、理由を挙げればたくさんありますが、一言でって言われたらこれです。
鐙にかかる重さが、最初に踏んだ時とずっと同じままであれば、鐙がその重さを押し返して外れるなんて、絶対に無いはずなんですよ。
僕たちが踏んでいる鐙は、バネが付いてる訳でもないし、油で滑る訳でもありません。ましてや最近の鐙は、スパイクまでついていて、足から外れにくくなってるくらいです。
という事は、気づかぬ内に、足が浮いてる瞬間があるんですね。隙間が出来るから、鐙がズレるんです。
足が浮く理由
では、どんな時に、なんで足って浮くんでしょうね?
原因を、思いつく限り並べてみました。
- 挟む事に集中し過ぎてるから
- 膝上が、鞍に添えられてないから
- 騎乗中は、下半身の形がずっと同じだと思っているから
- 鐙を踏む場所が安定してないから
- 脚合図の際に、かかとを巻き上げちゃうから
- 大きく立ちすぎてるから
- 鐙が長いから
すごい多いですね。皆さんが悩むわけです。
今回はこの中でも、他の記事で解説出来る下3つを抜いて、上の4つを解説したいと思います。
この4つについては、本当に、膝下の作り方、踏み方が原因なんですね。
他の3つの理由については、別個に記事を作ります。少々お待ちください。
馬が怖い人や緊張している人は、なんとか馬にしがみつこうと、馬体を挟む事にこだわります。
挟みすぎる原因は、それこそ多々あります。怖いから。そうするように習ったから。緊張しているから。圧迫合図をしようとしてるから。などですね。
僕たちって、体の端まで使って大きくしがみついた方が、しっかり抱き着けるんですよ。重い段ボールを運ぶとしたら、二の腕だけでなく、しっかり腕を回して、抱えて持ち上げますよね。
なので、怖いにしても、圧迫合図にしても、股関節から足首まで、大きく使って挟もうとします。
ところがそうすると、「下に踏む」ではなく、「横に挟む」に、パワーの方向が変わるんですね。
結果、鐙が脱げてしまいます。
「ただ挟む」ではなく、「鐙に重さは残したまま挟む」が出来ないと、この悩みは解決しません。
どんなに凄腕のライダーでも、馬という地面がそもそも弾んでる以上、一切弾まないのは無理なんですね。
この時、馬体を万力のように挟み付けるだけでは、限界があります。馬が何回も跳ねたら。乗り手が非力だったら。馬に乗り続ける事は出来ません。
なので僕たちは、弾んでしまう体を、それでも飛んでいかないように、座り方に工夫をしないといけません。
その工夫の一つが、「膝上の部分を、鞍の前面にある斜めに出っ張ったクッション、ニーパッドにはめる」というものです。詳しくは、以下の記事をご参照ください。
正しい座り方って?乗馬の基本姿勢と騎座について膝を上から押さえたら、足首って上がらないんですね。という事は、鐙を踏む加減も変わりません。
ところが、ガニ股の方が挟みやすいからだったり、足をくっつけておくのが窮屈だからという理由で、膝部分をニーパッドに添えずに乗る方がいるんですね。
結果、自分の脚力しか頼るものがなくて、それ以上に馬が揺れた時に鐙が脱げるんです。
少し上級者向けの話です。
馬に限らず、動物って走る時、地面を蹴ってるわけじゃないですか。
なので、速歩以降の走り方になると、少なからず地面から跳んでいるわけですよ。そのあおりを受けて、下から突き上げられるから、僕たちも体が弾むんです。
体が弾むって事は、自分の体が数センチは宙に浮いてるって事ですよね。
という事は、体が浮いてしまった分だけ、曲げていた足を伸ばさないと、足も一緒に浮いてしまいます。
ところが、鐙が脱げちゃう方って、カチンと足の形が一緒なんですよ。だから、体が弾む度に数センチずつ鐙から足が離れて、脱げていくんですね。
これには色々理由があります。正しい姿勢はこう!と、1つの形をし続けてるのも原因ですし、そもそもそんな事を教わってないというのも原因でしょう。
ただ、最初に言った通り、これは初心者の方が意識して出来る内容ではありません。
「鐙に足を残しておく」と「鐙を踏む」の区別が出来なければ、数センチ分と意識したところで100%踏みすぎます。結果、余計に体が弾んでしまいます。
他の姿勢が全て整い、足首だけに感覚を向けられる人や、足首の脱力が出来るくらいリラックス出来るようになってから行いましょう。
これまで話した3つは、太股からつま先まで、全体的な足の安定の話でした。
ですがこれは、そもそもの踏み方の話です。
鐙を踏む強さが安定していても、踏み方や、踏む場所がクルクル変わっていたら、それはもちろん滑ります。
これは、鐙を捕まえてる!って実感が持てないから起きる現象です。ここが正しい位置ですよと直された所で、「よく分からないけどここなのね」と何となくで踏んでるから、ずれても気づけないんですね。
ただこれは、初心者の方に、鐙でいきなり理解しろと言っても、難しい内容です。なぜなら、鐙は鐙革だけでぶら下がっているものなので、地面レベルで踏みしめる感覚が持てないからです。
なので、踏むポイントについては、地上で覚えた方が早いと、僕は思います。
この後お話しするので、一緒に覚えていきましょう。
鐙の具体的な踏み方
ここからは、具体的にどう踏めば良いかという話です。
考える事は4つですね。
- 鐙を履く場所
- 鐙を踏む強さ
- 鐙を踏む方向
- 足の固定
解説していきますね。
これを知るには、とっておきの練習があります。
体の前後左右上下にボールを投げるので、それをとって下さいという練習ですね。テニスやバドミントンでよく見る練習です。
とは言っても、イメージだけでも十分です。前後左右上下、どの方向にでも、瞬時にステップできるように、姿勢を作ってみて下さい。
さてこの時、体はどういう状態で、足の裏のどこが踏ん張ってますか?
人によって多少のずれはありますが、多くの方が、親指の周辺で踏ん張るはずです。ここが、鐙を履く位置です。
ただ、踏み締めるポイントって、その時々で変わります。
片足立ちでバランスをとってる時が一番分かりやすいですが、グラグラしたら、足の外側になったり、少しかかとの方になったりしますよね。
なので、「絶対ここ!」と決めてしまうのも、微妙に良くありません。小さい一点に絞りすぎず、将来的には柔軟に対応できるようになりましょう。
答えだけ言うと、鐙をスタンプするくらいです。
鐙を踏むと言われると、「踏みしめる」とイメージする方がいますが、これは少し違うんですね。踏みすぎると膝が浮いてしまいますし、足首の筋肉が固まって、体が弾んでしまうからです。
鐙には、常に足の裏を乗せてほしいですが、下に踏み下ろす、言葉の通りの「踏む」はする必要はないです。
例えば体が傾いた時など、何か合った時に踏み締められるようにしておきましょう。さっきの、前後左右上下に反応する練習もそうですが、地面にべったりとは、足の裏はついてないはずですよ。
とはいっても、鐙をちゃんと「下」という方向に踏むのは、慣れてもらうしかありません。
こればかりは、感覚の問題なんですね。下に踏んでるつもりが、前や後ろに踏んでいるのは、よくある話です。
正直、コツみたいなものがあれば良いのですが、残念ながら存在しません。目を閉じて、腕を90度上げてと言った時に、ズレてしまう方がいるのと同じで、個人の運動神経と感覚の問題だからです。
自分で確認したり、他の人に見てもらったりして、調整してみましょう。
オススメはほんの少しだけ、腰を浮かすのを繰り返す練習ですね。
立つ、までは行かなくて良いです。その場で小さなスクワットをするつもりで、なんどか足に力を入れてみて下さい。
腰を浮かせた時と、下ろした時で、鐙の位置や踏む位置が変わらなければ、それで成功です。
最後に、足の固定ですね。
ポイントは、足首だけを支点にしないことです。
壁に、ななめに鞭をかけるとしましょう。
この時、持ち手だけに画びょうを刺しても、鞭は回転しますし、先端だけに画びょうを刺しても、ブラブラしますよね。
角度を固定するには、上と下の両方に支点が必要になります。
なので、膝の少し上を、鞍のクッション部分に添えておきましょう。
膝のお皿部分を付けてしまうと、そこを軸に回転してしまうので、「膝の上」というのを大事にして下さい。
まとめ!
今回は、鐙の踏み方について解説しました!
鐙を、地面レベルで踏めるようになると、騎乗レベルが格段に上がります。
皆さん、地面の上で、どんな体勢をしても、大体は踏ん張ってられますよね。自分で自分のバランスを崩すって、僕は聞き覚えが無いです。
なので、どこでどう踏み締めるかというのは、けっこう大事なポイントになります。これは、初心者の方だけの話ではなく、ある程度の経験者の方にも言える話ですね。
繊細な感覚をつかまなきゃいけないので、他の練習と同時に考えられるほど簡単ではありません。
焦らず、膝上から足の裏まで、足というパーツだけに集中できる環境を作ってから実践しましょう!
ご覧いただき、ありがとうございました!